護身術は、攻撃される前から始まっている

多くの護身術は、何かが起きた後から始まります。

つかまれた。

殴られそうになった。

押された。

そこで考えるのは、


「どうやって逃れるか?」


ということです。

もちろん、そのための技術は大切です。

そして必要になる場面もあります。

しかし、そこには一つの前提があります。

すでに相手に主導権を与えてしまっているということです。

だからこそ、別の問いを考えてみたいのです。


「そもそも、そこまで状況を悪化させないことはできないだろうか?」


対応が遅くなるほど難しくなる


例えば、

  • 手首をつかまれる
  • 胸ぐらをつかまれる
  • 首に手をかけられる

その時点で、すでに失っているものがあります。

  • 間合い
  • 自由に動けること
  • 反応する時間
  • 主導権

相手はすでに目的の一部を達成しています。

つまり、

有利な状況を取り戻すところから始めなければならないのです。

相手より体が大きく力も強ければ、それでも何とかなるかもしれません。

しかし、

小柄な人。

力の弱い人。

年齢差がある人。

そうした人にとって、この違いは非常に大きくなります。

FWCでは、こう考えます。


問題は、解決が遅くなるほど難しくなる。


FWCの第一防衛線


FWCは、技から始まりません。

逃げ方からも始まりません。

接触する前から始まります。

その第一防衛線となるのが、

  • Awareness(状況認識)
  • Readiness(即応態勢)
  • Distance(間合い)

です。

この三つは、それぞれ別のものではありません。

つながっています。

状況認識が時間を生み、

即応態勢がその時間を活かし、

間合いが相手に攻撃の機会を与えないようにします。

その結果、

問題そのものを小さいうちに解決できる可能性が高くなります。

回復するより、起こさせない


二つの状況を考えてみましょう。

① つかまれた

つかまれた後、

技を使って外します。

② つかまれない

状況を見て、

準備を整え、

間合いを管理する。

その結果、

相手はつかむことができません。

どちらが簡単でしょうか。

答えは明らかです。

それにもかかわらず、

多くの護身術は、

つかまれた後の練習に多くの時間を使います。

FWCは技を否定しているのではありません。

ただ、


「もっと早い段階で解決できなかっただろうか?」


と考えるのです。

本当に技は出せるのか?


もう一つ大切なことがあります。

多くの人は、

「練習した技は本番でも使える」

と思っています。

しかし、

突然の攻撃を受けたとき、

人の身体には様々な変化が起こります。

  • 心拍数が上がる
  • 視野が狭くなる
  • 細かな動きが難しくなる
  • 判断が遅れる

完全に不意を突かれた状況では、

どれだけ練習した技でも、

思うように出せないことがあります。

だからこそ、

FWCでは、

状況認識と即応態勢を重視します。

不意打ちを減らし、

考える時間を作り、

身につけた技術を使える状況を作るためです。

一時的な解決では終わらない


例えば、

つかみを外せたとします。

それで終わりでしょうか。

相手は、

  • もう一度つかめますか?
  • 殴れますか?
  • タックルできますか?
  • 攻撃を続けられますか?

多くの技術は、

目の前の問題だけを解決します。

FWCは、

その次を考えます。


「次の問題を起こさせないためには?」


FWCには、

「何もさせない」

という考え方があります。

これは、

相手を完全に支配するという意味ではありません。

相手が有効な攻撃を行える機会を、

少しずつ減らしていくという考え方です。

一つの問題を解決するだけではなく、

次の問題そのものを作らせない。

それがFWCの目標です。

護身術を見る視点を変える


一般的な考え方は、

攻撃される → 対応する → 脱出する

です。

FWCは、

こう考えます。

状況認識 → 即応態勢 → 間合い → 問題を起こさせない → 必要なら対応する

目的は、

反応を速くすることではありません。

反応しなければならない状況を減らすこと。

そのために、

できるだけ早い段階で問題を解決します。

おわりに


もちろん、

すべての攻撃を防げるわけではありません。

完全な不意打ちもあります。

技が必要になる場面もあります。

だから私たちは技を練習します。

しかし、

護身術は、

攻撃された瞬間から始まるものではありません。

状況を認識すること。

準備を整えること。

間合いを管理すること。

そして、

問題が大きくなる前に解決すること。

特に、

相手が自分より強いとき。

人数で劣るとき。

「不利な状況」でこそ、この考え方は大きな意味を持ちます。


覚えておきたいこと


FWCは、「反応が上手くなること」を目指しているのではありません。
「反応しなければならない状況を減らすこと」を目指しています。